前回のステップ3では、ダイエットのための食事の「食べ方」について説明をしました。このステップ4では食事の「内容」について解説をしていきます。食事内容については、個人の好き嫌いがあるため、なかなか改善することが難しいと感じる人も多いと思いかもしれません。しかし、肥満の人が体重を減らすためには、特別な食事を意識する必要は全くありません。いわゆる「普通の食事」で体重は減少していきます。この記事を読むことでダイエットに必要な食事のポイントが理解できると思います。ダイエットにおける食事の改善について、ハードルが下がれば幸いです。
そもそも普通の食事ができないから太るんだけどね!
ダイエットに最も重要なことはカロリーの収支
ステップ3にも書きましたが、ダイエットに必要な食事において、もっとも重要なことはカロリーの収支です。
消費カロリー>摂取カロリー → 体重が減る
消費カロリー<摂取カロリー → 体重が増える
簡単に言えば、多く食べれば太り、運動量を増やせば痩せていきます。しかし、体重を減らすだけであれば、圧倒的に食事を減らす方が効率的です。
その理由を例に挙げると、体重60kgの人がジョギングを20分くらい行った場合の消費カロリーは約140kcalで、これはおにぎり一個分のカロリーにも満たない値です。元々運動習慣が無い肥満の人が、これ以上の運動をするのは難しい場合が多いでしょう。
このような理由から、運動で体重を落とすよりも、食事による摂取カロリーを減らす方が圧倒的に効果的です。この点から考えると、「全体の食事量を減らせば食事の内容は気にしなくてもいいんじゃない?」と考える人もいると思います。それはほぼ正解ですが、以下のポイントに気を付けることで、さらに効率よくダイエットをすることができます。
まずは全体の食事量を減らすことが第一歩!それだけで基本的には体重が減っていくよ!
ダイエットのための食事 ー糖質を減らそうー
糖質の過剰摂取は肥満に直結します。糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものです。1gあたりのカロリーはタンパク質と同じ4kcalで、脂質の9kcalよりは低い値となっています。
「脂質よりカロリーが低いなら糖質よりも脂質を控えた方がいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、ダイエットにおいて糖質制限の有用性は確かに報告されています。
なぜ糖質制限がダイエットに有用か。それは「インスリン」というホルモンが関係しています。インスリンは多くの人にとってなじみのあるホルモンで、血糖値を下げる代表的なものす。糖質を摂取するとインスリンの働きによりブドウ糖が筋肉や肝臓などの細胞に取り込まれ、その作用によって血糖値が正常範囲に保たれます。それだけなら良いのですが、糖質を摂りすぎると、血中にブドウ糖が余ってしまい、その余分なエネルギーはインスリンの働きで、脂肪細胞に取り込まれ、脂肪を合成し体に蓄積させてしまいます。つまり、インスリンには血糖を下げるだけでなく、過剰な糖を利用して脂肪を蓄積させる「脂肪合成」の作用もあるということです。これが糖質の摂り過ぎで脂肪が増える理由です。
「じゃあやっぱり糖質制限は正義なんだ!糖質ゼロがいいよね!」と思うかもしれませんが、私は糖質を摂りすぎている場合の制限はお勧めしますが、糖質をゼロにすることは全く勧めていません。その理由の一つとして、糖質を摂取することで分泌されるインスリンには脂肪の合成だけではなくて、タンパク質の合成促進、分解抑制の作用もあります。(参考:「物質代謝・異化と同化」より)
つまり、インスリンは脂肪を合成する働きもある一方で、筋肉の合成を促進したり、分解を抑制する働きも持っているということです。糖質の過剰な制限は長期的に見ると死亡率を高めるという報告も散見されます。やはり糖質はゼロにするのではなく、「過剰な摂取を控える」程度に留めるのがよいでしょう。
肥満の人は糖質を摂りすぎている傾向があるので、0にしなくても普通の量に戻すだけで体重が減るよ!
※糖尿病などの持病がある方は別です。かかりつけの先生や管理栄養士の方に相談しましょう!
ダイエットのための食事 ータンパク質を摂ろうー
続いてタンパク質の摂取について解説します。上記で述べたようにエネルギー量を減らし、糖質の量を減らすと、もちろん体重は減っていきますが、落ちるのは脂肪の量だけではなく、筋肉量も減ってしまいます。筋肉量の低下は基礎代謝の低下を招き、さらに脂肪量が落ちにくくなると言われています。
そのため、ダイエットの過程でできるだけ筋肉量を落とさないように注意することが重要です。そこで必要なことがタンパク質の摂取になります。ダイエット時には1日1g×標準体重が必要です。例えば身長175cmの人であれば適正体重は67kgくらいになるので約70gのタンパク質を摂取するようにしましょう。標準体重(適正体重)の調べ方は以下の日本医師会のサイトが便利です。
普段からタンパク質の摂取を意識していない人が急にタンパク質の量を増やすのは難しいと思います。お勧めの方法の一つは、今まで食べていた間食(甘いお菓子など)をプロテインなどのタンパク質に置き換えてみる方法です。最近はプロテインも美味しいものが多く、間食の代わりになります。粉上のプロテインは牛乳で飲むと飲みやすくなるのでお勧めです。牛乳で飲むと糖質は若干増えてしまいますが、許容範囲です。間食で甘いお菓子を食べるよりははるかにダイエットに向いています。是非お試しください。
ダイエットで落としたいのは筋肉ではなく脂肪!筋肉を落とさないようにタンパク質を摂ろう!
※腎臓が悪いと言われている人はタンパク質の過剰摂取が腎臓を悪化させる可能性があります。かかりつけの先生や管理栄養士さんに相談してください。
ダイエットのための食事 ー野菜を摂ろうー
海外の研究報告では、食物繊維を多く摂取している人ほど、腹部肥満が軽度であると報告されています。
具体的な代謝経路はまだはっきりしておりませんが、肥満者のインスリンの感受性を高める効果があることが考えられています。また、良く噛むことで満腹感も増大し、ステップ3で述べたような食事の摂り方の改善にもつながります。
嫌いな人も多いけど、やっぱり野菜は大事だね!苦手な人は薬だと思って食べよう!(笑)
ダイエットのための食事 ーアルコールの量を減らそうー
次は食事というよりは飲み物、お酒についてです。「お酒は水分だから大丈夫じゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、アルコールにもエネルギー、つまりカロリーが含まれています。アルコール1gあたりには約7kcalのエネルギーが含まれているため、飲み過ぎたら高い確率で太ってしまいます。
また、お酒にはアルコール以外の成分も含まれます。例えば、ビールや日本酒、ワインなどの醸造酒には糖質が多く含まれています。具体的な量としては缶ビール1杯には10.9g、日本酒1合には6.5g、ワイン125mlには2~3g程度と糖質が含まれています。「日本酒とワインは糖質が少ないね!」と思うかもしれませんが、ビールと比べるとアルコール度数が高いため、アルコールによるカロリー摂取量はは高くなってしまいます。
ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒はアルコール度数が低いけど、糖質が含まれるよ!
また、ウイスキーや焼酎、ブランデーなどの蒸留酒と醸造酒の大きな違いは「糖質が含まれていない」ことです。蒸留酒は醸造酒を蒸発させて製造するため、糖質が含まれません。しかし、その代わりにアルコール度数が非常に高いです。ウイスキーは45~50度程度のアルコール度数が一般的です。糖質が含まれていなくても、アルコール度数が高ければそれで摂取カロリーが増えてしまいます。やはり、アルコールは控えた方がいいでしょう。
ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒は糖質が入っていないけど、アルコール度数が高いよ!
アルコールは飲まない方がいいの?どらくらい飲んだらいいの?
原則としてアルコールはダイエットや健康のためにも飲まない方が望ましいです。これでは何も楽しめなくなってしまいますね。個人的には高血圧学会が推奨している量(アルコール換算で25~30g程度)にアルコール摂取を抑えることをお勧めします。
具体的には缶ビール(350ml)では1~2本まで、日本酒は1合、ワインは120ml程度、ウイスキーはシングル2杯、焼酎は100mlまでなどです。
趣味と健康のバランスで楽しみましょう。
まとめ
この記事のまとめです。
・食事の内容について、一番重要なことはカロリーの収支
・糖質を摂りすぎない
・タンパク質をしっかり摂る
・野菜(食物繊維)を摂る
・アルコールを一定量に控える
以上となります。このステップ4で食事編は終了です。次のステップ5は運動編に入ります。是非ご覧ください。
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