これまでダイエットの7ステップを書いてきたため、このブログを読んでくださっている方の中には、「やっぱり、体型は細い方がいいよね!」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際は、太り過ぎている体型は確かに健康に悪いですが、細ければ細いほど健康にいいわけではありません。この記事ではどのような体型が一番健康にいいのか、海外の研究報告も含めた様々な報告から導き出したいと思います。
今の体型が理想の体重なのか、もっと体重を落とした方がいいのか、あるいは増やした方がいいのか。そんな悩みを持った方の参考になれば幸いです。
先に結論を述べる以下のようになります。
・案外ぽっちゃりの人は長生きし、痩せすぎの人が短命に終わるリスクが高い
・太っていればいいわけではなく、肥満により健康障害をきたしているのであれば減量する必要がある
・腹部肥満も重要な問題。細いように見えてお腹が出ている体型が一番ヤバい可能性がある
・体型を改善するには結局食事と運動が大事!
それぞれ解説をしていきます。
太っている方が健康にいい?理想のBMIとは

外見でその人を判断されがちな現代では、体型も「魅力的な外見」の重要な要素です。テレビに出演する人気俳優やモデルなど、外見が重視される職業の方々は、頭が小さく、足が長く、体型も過剰に太っている人はほとんど見られません。
一部の例外を除けば、一般的に「太っている人よりも、細い、または標準体型がいい体型だ」、と考える人が多いのではないでしょうか。しかし、「外見」ではなく「健康」に着目した場合、細い体型の人の方が必ずしも健康にいいわけではありません。
多くの方は、「太っていると、病気になりやすいから予後は悪いんじゃないの?」と考えると思いますが、国内の研究にいて、肥満の指標であるBMI(体重(kg)/身長(m)の2乗)と予後を比較した結果、むしろ逆の傾向が示されています。
BMI (kg/m2) | 判定 |
---|---|
<18.5 | 低体重 |
18.5≦~<25 | 普通体重 |
25≦~<30 | 肥満(1度) |
30≦~<35 | 肥満(2度) |
35≦~<40 | 肥満(3度) |
40≦ | 肥満(4度) |

この図を見ると、BMI<18.9の低体重グループが一番予後が悪いという結果となりました。反対に一番予後がいいのはBMIが23.0-24.9(男性は21.0-26.9)の、普通体形からやや肥満(太りすぎてはいないけどぼっちゃりくらい)のグループです。

喫煙の影響を除外するために非喫煙者の数値を見ているよ!
その理由をこの研究では低体重の死亡はがんが多い(特に喫煙者で)ということと、感染症、呼吸器疾患、炎症性疾患などの様々な病気に対する抵抗力が低いため、と考察されています。



痩せるの「痩」という字をよく考えてみよう!
肥満体型が健康によいわけではない


「それでは、太れば太るほど健康にいいの?」と思うかもしれませんが、もちろんそれは誤解です。前述の報告によると、BMIが27を超えると男女ともに死亡リスクが上昇することが示されています。
体重が増えすぎるとメタボリックシンドロームを引き起こし、高血糖、高血圧、脂質異常症をきっかけに、最終的には脳卒中、心筋梗塞や下肢切断など、命に関わる病気にかかるリスクが高まります。


高血糖、高血圧、脂質異常症は、その病態自体は症状を有さないことが多いですが、上記で述べた命に関わる病気である脳卒中や心筋梗塞、下肢の壊疽(えそ; 腐ること)の疾患の発症率を上げ、健康寿命を短くする要因となります。
したがって、過度な肥満も健康には良くないといえるでしょう。「痩せすぎも太り過ぎもダメ!じゃあ、どうすればいいの?」と思う方もいるかもしれませんね。普通体型か肥満1度(ややぽっちゃり)であればよいとされていますが、以下に、どのような方が減量を考慮すべきか具体的に解説します。



結局、普通体形が一番!?
肥満体型で減量したほうがいい人はどういう人?


減量したほうがいい人は「肥満」ではなく、「肥満症」と診断される方です。肥満と肥満症の違いを説明すると、肥満はBMIが25以上の方を指し、肥満症はBMIが25以上で、かつ健康障害を有するか、内臓脂肪蓄積が認められる場合に診断されます。
健康障害とは何か、以下にお示しします。
1. 耐糖能異常(2型糖尿病、耐糖能異常)
2. 脂質異常症
3. 高血圧
4. 高尿酸血症・痛風
5. 冠動脈疾患
6. 脳梗塞
7. 脂肪肝
8. 月経異常・不妊
9. 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10. 運動器疾患
11 肥満関連腎臓病
肥満診療ガイドラインでは、肥満による健康障害としては上記の11疾患が挙げられています。
つまり、このガイドラインによると①肥満体型で上記の健康を害するような疾患を有しているか、②肥満体型で上記の健康障害を有していなくても内臓脂肪が蓄積されている人は、肥満症と診断されるため、肥満を改善が推奨されます。
では「内臓脂肪蓄積って何?」という話になりますが、これは「腹部肥満」、つまりお腹が出ている状態を指します。内臓脂肪が多く蓄積すると、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの健康障害を引き起こすリスクが高まります。
腹部肥満の定義は、厳密にはCTで測定し評価されます。しかし、CTは簡単には撮れないので、一般的にはスクリーニング検査として、腹囲を測定します。腹囲測定については別の記事で詳しく書いたので参考にしてください。


健康障害がなくてもお腹が出ていれば、将来的には健康障害を引き起こし、重篤な疾患に罹患するリスクが高いので、お腹を凹ませよう、ということですね。



「体重」も大事だけど「体型」も大事なんだね!
細く見えるのに腹が出ている体型がいちばんヤバいかも?


先ほど「BMIが25以上で健康障害がなくても、腹部肥満があれば減量した方がいい」と述べましたが、私の考えでは、「BMIが低くても、腹部肥満があればお腹を凹ました方がいい」と思っています。
1994年に報告された国内の研究によると、肥満でない場合でも冠動脈疾患(心臓の血管の病気)患者は健常者と比べて、内臓脂肪面積が高く、脂質異常症や高血糖、高血圧を有する割合が高かった、という報告がされています。


また、海外の研究では心臓の血管(冠動脈)治療後の患者で予後を検討した結果、以下の図ような結果になったと報告されています。


左上から「腹部肥満体型」、「肥満体型」、「普通・やせ型体型」、「筋肉質体型」の4つ体型で予後を比較した結果、「腹部肥満体型」、つまり、「BMIは正常だがお腹が出ている体型」が一番、死亡率が高いことが報告されています。
※心臓病を有する人が対象である研究であることと、BMIや腹部肥満の基準値が日本とは違うので、参考程度になります。



この研究は海外の心臓病がある人が対象なので参考程度にね!
この研究での腹部肥満体型は「BMIが低い=筋肉量が少ない、体力がない、栄養状態が良くない」に加えて、「腹部肥満がある=健康障害を引き起こしやすい」の、両方のリスクを抱える体型とであり、最も不健康な体型である可能性があるかもしれません。
結局、健康によい理想の体型は?


手足にしっかりと筋肉がつき、お腹が引き締まっている体型が一番健康的であることは、なんとなくイメージが付きやすいかと思います。しかし、実際にアスリートやボディビルダーのような体型を目指すのは難しい場合が多いでしょう。
私が考える理想の体型は、まずお腹が出ていないこと、これで病気になる可能性を低くすることができます。次に、BMIが21以上はあること。これで健康寿命が長いグループに属することができます。



私のBMIは20くらい。もっと太らねば….
では、どうしたらそのような体型を目指せるのか。残念ながら、答えは食事と運動しかありません。私がこれまで投稿してきたダイエットの7ステップをご覧ください。
・お腹が出ている人→適切な食事と運動でお腹を凹ませる
・体重が少なすぎる人→食べる量を増やし、筋トレをして体重を増やす



結局、食事と運動が重要だということ!
まとめ
この記事のまとめです。
・案外ぽっちゃりの人は長生きし、痩せすぎの人が短命に終わるリスクが高い
・太っていればいいわけではなく、肥満により健康障害をきたしているのであれば減量する必要がある
・腹部肥満も重要な問題。細いように見えてお腹が出ている体型が一番ヤバい可能性がある
・体型を改善するには結局食事と運動が大事!
以上になります。今後は、普段の生活をどのように気を付ければ理想の体型に近づけるか、そんな情報を発信していきたいと思います。是非ご覧下さい!
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