これまでステップ1、2では、ダイエットの目標設定や体重計測の重要性を解説しました。これらはいわば準備段階。これからはいよいよ実践に入ります。実はダイエットは運動よりも食事が非常に大切です。これからのステップ3、4では食事に焦点をあてていきます。前半のステップ3では食事の「食べ方」についてです。
この記事では食事の「内容」ではなく「食べ方」を中心に解説していきます。場合によっては、食事の内容を変えなくても食べ方を改善するだけでダイエットに効果が現れる可能性があります。これまでダイエットで運動や食事内容にばかり注目していて、「食べ方」に注意を払っていなかった方にとって、参考になれば幸いです。
ダイエットにおいてなぜ運動よりも食事が大事か
そもそも、ダイエットにおいてなぜ運動よりも食事が大切と言われるのか。
その理由はとても簡単。体重の増減は摂取カロリーと消費カロリー(基礎代謝+運動代謝)の収支で決まります。多く食べれば太り、食事量を減らせば痩せていきます。
消費カロリー>摂取カロリー → 体重が減る
消費カロリー<摂取カロリー → 体重が増える
消費カロリーで決まるなら、「たくさん運動したら体重は減るよね?」と疑問を抱く人もいると思いますが、それは半分正解で半分不正解です。確かに運動をすれば運動代謝が増えて消費カロリーが増えますが、それは微々たるもの。例えば60kgの体重の人がジョギングを20分くらい行った場合の消費カロリーは140kcalで、これはおにぎり一個分のカロリーにも満たない値です。肥満の人は普段運動をあまりしない人が多いですが、そのような人にとってこれ以上の運動を続けることは難しいかもしれません。
よく「アスリートは1日5食とか食べても太らないよね!たくさん運動すればいっぱい食べてもいいんだよね!」という質問を受けます。
もちろん「たくさん」運動をすれば体重は減りますが、それはアスリートや部活動で体を動かしている人たちの話です。彼らの運動量はダイエットに悩んでる人の比にはなりません。彼らは消耗が激しすぎるがためにしっかり食事を摂取しないと脂肪どころか筋肉量まで落ちてしまいます。食事をとる目的がダイエットをする人たちとは全く違うということだけ覚えておきましょう。
アスリートはこれ以上痩せてしまわないようにたくさん食べなければいけない、というところがダイエッターとは根本的に違うところだね!
ダイエットのための食べ方 ーよく噛んで食べるー
ダイエットのための「食べ方」の話に移ります。
まずは直しやすいところから。食事は「よく噛んで食べる」ことが大切です。よく早食いはよくないと言われていますが、なぜよく噛んで食べる必要があるか。それは「グレリン」というホルモンが関係してきます。
グレリンは胃から分泌される「食欲亢進」と「脂肪蓄積」の生理作用があります。空腹になると胃から「グレリン」が分泌され、血液を通して脳に作用することで食欲が刺激され、空腹感が生まれます。
よく噛んで食べるとグレリンという食欲ホルモンの分泌が減少し、生理作用としては対となる摂食抑制ホルモンであるグルカゴン(グルカゴン様ペプチド;GLP-1)が増大するため食欲の抑制につながります。(【食べる速さが食事誘発性体熱産生に与える影響】より)
専門用語で「30回咀嚼法」という食べ方があります。これは一口で30回噛み、それを食事中に繰り返すということです。食事時間を延長させ、早食いを矯正することの効果は、実証研究が進められており、早く食べるほど肥満の指標であるBMIが高いことが報告されています。
「一口30回、よく噛んで食べる」。長年の習慣を強制することは難しいと思いますが、方法としては非常にシンプルな方法です。ぜひ実践してみましょう。
昔は「早食いの人は仕事ができる」みたいな風潮があったけどなんのエビデンスもないよ!不健康なだけ(笑)
ダイエットのための食べ方 ー夜遅くの食事は控えて早く寝るー
次に食事をとる時間帯です。原則として夜遅くの食事を極力控えるようにしましょう。次の章の「規則正しく食べる」にもつながる話ですが、夜遅くに食事をとる行動は肥満者に多くみられる行動だと言われています。実際、食事をとる時間が遅くなることで肥満に関連する現象が見られたという研究も報告されています。
また、夜遅く食べるということは寝る時間が遅くなるとも言えます。必然的に、睡眠不足に繋がることもあるでしょう。短い睡眠時間が肥満に関連することも報告されており、具体的には、空腹感の増強、食事回数の増加、食欲を抑えるレプチンの低下や、反対に増加させるグレリンの上昇などが報告されています。
これらの理由から遅い時間帯に食事をとると肥満になる可能性は高まります。「何時まで」と決まった時間があるわけではありませんが、自分で「21時以降は食べない!」とルールを決めてしまいましょう。私は20-21時くらいがデッドラインだと思っています。
どうしてもお腹がすいて食べたくなったときは、プロテインなど太りにくいものを摂取しよう。ステップ4でまた解説するよ!
ダイエットのための食べ方 ー規則正しく食べるー
上記で述べたように必要なのはカロリーの収支です。カロリーの収支がマイナスになっていれば「基本的には」一日に3食だろうが、1食だろうが体重は減ります。
本当は規則正しく1日3食が望ましいけどカロリーの収支がマイナスになっていれば1日1食や2食でもOK。
その代わり、毎日決まった時間に食べるようにましょう。上記でも述べましたが、夜遅くに食べないことはもちろん、決まった時間ではなくて、「お腹が空いたら食べる」みたいな自由な時間に食事をとる行動は肥満に繋がる可能性があります。
動物実験レベルですが、高脂肪の食事でも時間を制限して摂取させれば普通の食事をを自由に食べさせる場合と体重増加に大きな差は無いと報告されています。
このことからも規則正しく食べることは、食事の内容と同じくらい重要だと言えます。
まとめ
この記事のまとめです。
・減量において最も重要なことはカロリーの収支
・よく噛んで食べる。一口30回が目標
・規則正しく食べる。食べる時間が決まっていれば1日1食や2食でも良い
・とはいえ、夜遅くに食べるのだけはだめ
以上になります。次回は「食事の内容」についてです。是非ご覧下さい。
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